ジパングは沈黙の艦隊と同じくモーニングで連載されていたマンガです。作者も同じくかわぐちかいじさんです。2000年~2009年と約10年間連載され、単行本で43巻の長編マンガで、こちらもアニメ化されています。
さらっと導入部分を紹介します。
海上自衛隊のイージス艦「みらい」が海外派遣へ向かう途中、ミッドウェー沖で大きな嵐に遭遇し雷に打たれます。僚艦がレーダーから消えたり、衛星通信が使えなくなったりしていると、大艦隊に遭遇します。そこには巨大な戦艦の姿が…。実は第二次世界大戦の時代にタイムスリップしていたからでした。そんな折、零式の日本帝国海軍の参謀:草加少佐を助けたことから戦争に巻き込まれていき・・・
こちらも続きはマンガでお楽しみください。
ここまで読んだ方は「戦国自衛隊の海自版やん、イージス艦が第二次世界大戦で大活躍して日本がアメリカに勝つ話なのか?」と思われるかもしれませんが、ぜんぜん違います。
アメリカ軍に対し圧倒的な性能差を見せつけるところもありますが、アメリカ軍による特攻まがいの描写があったりもします。みらいの自衛官はいきなり“有事”の中へ放り込まれ、葛藤や恐れを抱えながら「自衛官として」「未来を知る者として」懸命に生きていきます。
その後冒頭で助けた草加少佐がカギとなり、物語は想像つかない方向へ進んでいきます。
当時はこんな終わり方あり?と思いましたが、今思うといい終わり方だと感心します。作者がこの物語で描きたかった日本は、大日本帝国の延長でもなく現在の日本国でもない、かつてヨーロッパ人が憧れた黄金の国になぞらえた「ジパング」なのかもしれません。
好きなシーンはやはり最後の角松の描写です。あとはサジタリウスの矢のところも好きです。 かわぐちかいじさんの作品はほぼ読んでいるのですが、これは最も長い話です。自衛隊に関係しないものでは「メドゥーサ」と「僕はビートルズ」が好きです。