原作かわぐちかいじさんのマンガ紹介の第三弾です。
2014〜2019年にビックコミックで連載されていました。単行本は全13巻です。続編として空母いぶきGREAT GAMEが連載中ですがこちらはまだ読んでいないので、今回の紹介は13巻までの内容になります。
同名の映画が2019年に公開されましたが、漫画と比べると内容は一部だけになり、設定も少しぼかしてあるので、観る順番としてはまず映画を観て映像で迫力を感じてから、漫画で詳細を堪能するというのがいいのではないでしょうか。
同作者の「沈黙の艦隊」や「ジパング」と比べて再現性が高いというかリアリティがある設定です。すでに自衛隊が運用しているF-35やイージス艦の「あたご」や「ちょうかい」、潜水艦「けんりゅう」などが出てくるため、より緊迫感があるのではないでしょうか。なお、このマンガのタイトルでもあるいぶきという空母にはスキージャンプ式甲板が採用されています。
物語は漁業で遭難したように偽装した中国工作員が、尖閣諸島に上陸するところから始まります。彼らは「ここは中国の領土だから本国の救助を待つ」と海上保安庁の救助を拒否します。
そんな事件があって日本政府は対応でゴタゴタした後、しばらくして中国は尖閣諸島や与那国島などを武力制圧します。政府は海上警備行動の後史上初の防衛出動で対抗して…
続きはぜひ単行本でどうぞ。
単行本を買うことに躊躇される方には(私は単行本を買ったことがありません)、以下のいずれかの方法があります。
- TSUTAYAで単行本をレンタルする
- 漫画喫茶で読む
- コミックアプリで読む(どこまで無料で読めるかは不明です)
また、映画はAmazon primeなどで観ることができます。
感動的なシーンはいくつもあるのですが、最終巻にある一つのエピソードを紹介します。
F35Bのパイロット数名とその家族がバーベキューをする場面です。バーベキューが終わり撤収をしているときに、迫水さんが“次に使う者の気持ちを考え”隣の区画のごみを拾います。それをみて、「国を守るとはこの気持ちだと思った。人間同士の信頼ってやつだ」っていうシーンです。ここだけ読むと陳腐に思えると思いますが、ぜひマンガで確認してみてください。
あとラストに近いシーンで中国側の司令官が現場の提案を採用する柔軟な自衛隊に憧れているような描写があります。あくまでエンターテイメント作品なので、実際の自衛隊の運用においてはないことなのかもしれませんが、そこに作者のメッセージがあるような気がします。現場の意見や提案を無視する運営というのはどんな組織でもうまくいかなくなると私は思います。